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9日に見ました、歌舞伎座・顔見世・夜の部「寺子屋」の感想などを書かせていただきます。
多少長くなりましたので 「船弁慶」と「嫗山姥」は後日エントリーさせていただきます。 ○「寺子屋」は「菅原伝授手習鑑」の四段目にあたる舞台です。 「菅原伝授手習鑑」のおおまかなお話の流れは、こちらの感想欄をご参考くださいませ。 武部源蔵は菅丞相の筆法弟子でしたが不義の咎で勘当されていました。 しかし勅命により 菅家の筆法を後継者に伝授することとなり 丞相は源蔵に筆法を伝授し、伝授の一巻を授けます。 丞相は時平の讒言により流罪になりますが 源蔵は丞相への恩義から若君・菅秀才を連れ、妻・戸浪と共に落ち延びます。 ここが「筆法伝授」になるのですが ここから、源蔵は勘当された身であるにもかかわらず 筆法を伝授してくれた丞相への忠心から若君・菅秀才を匿い 若君・菅秀才の首を討つよう命じられても 身代わりの首を差し出そうと考えます。 「寺子屋」は身代わりをどうするか思い悩む源蔵からお話が始まります。 幕開き舞台は寺子屋、源蔵が落ち延びて暮らしている家 上手簾内、竹本蔵太夫のオキ 松江丈・涎くり与太郎と千之助丈・菅秀才の件の後 「いろはにほへと」から上手出語りとなり竹本綾太夫のオキから 花道、梅玉丈・源蔵の出になります。 ここの涎くりは、木戸口まで出るやり方ですので 戸浪も源蔵が帰宅後にはじめて舞台に出ます。 花道から出の梅玉丈・源蔵 七三でのおこつきは、はやり見えず(^_^;) 舞台に出てからになります。 思案の末、花道から小走りで舞台に上がって木戸口から子供たちの顔を見回し「いづれを見ても山家育ち」 思いつきの勢いと、現実と 落差の意識が伝わり、思い悩む源蔵が見えて良いと思います。 ここで魁春丈・戸浪が玉太郎丈・小太郎の手を引いて舞台奥からの出になります。 「山家育ちは知れてある子供、憎体口は聞へも悪い」あたりから 源蔵が小太郎を身替りに決めるあたりまで わりとサクサク進みます。 じっくり重たく見ると言うより どちらかと申しますと義太夫狂言の流れの良さを感じます。 魁春丈・戸浪は源蔵に対しても子供に対しても優しく、もとは菅丞相のそばに仕えた腰元としての品があり 時代物の中で世話風に細々動くお役ですが、品格の上でのことなので加減がとても良いです。 子供たちが舞台奥に入り 源蔵と戸浪の話になります。 前半はやはりサクサク進みますが 「ことによつたら、母諸共」の後あたりから雰囲気が深くなります。 梅玉丈・源蔵の「若君には替へられまい」の台詞がグ〜っと大きく、緊張感が増し 「せまじきものは宮仕へ」で決まったところ、タメがじっくり深くてとても良いです。 ここにくるまでわりとサクッと進んでおりましたので 大きく深く決まるところが効いてくるのだと思います。(^^ゞ 菅秀才を隠してからの緊張感がとても良いです。 竹本「かゝるところへ春藤玄蕃」から 花道の出で段四郎・玄蕃の一行の出になります。 なんと申しましょうか 顔見世だからということなのでしょうけれど 役者さんが揃っていていいですね。 段四郎丈・玄蕃、大きくて太くてスゴク良いです。 玄蕃と村の者の話から 「ヤレお待ちなされ、暫く」で下手の駕籠から仁左衛門丈・松王丸の出になります。 スッキリとして美しい松王丸です。 黒地の衣装なのですが すごく雪が多くて、目に眩しいくらい 鷹も大きめの様な気がしたのですが 気のせいでしたでしょうか・・・。 とにかく、立派でカッコイイ松王丸です。(^^ゞ ここからの台詞、義太夫狂言のコッテリ感は少ないのですが 押しがあり、「ざわざわと抜かさずとも」のあたりは迫力もあり 大きさがございます。 涎くりの件がございまして、子供たちが居なくなったところから お話の緊張感が増していきます。 松王丸と源蔵が舞台中央でぶつかって、上手下手へ別れるところ 仁左衛門丈・松王丸の‘(-д*)!!‘ っと、いう感じも良いのですが ここは梅玉丈・源蔵の‘<`∧´╋>‘ っと、グッと強く出る感じが良いです。 ことに受けの部分が多く感じられる梅玉丈の源蔵ですが 松王丸に対しての心情が垣間見え、良い意味でチョッと意外で それが良かったです。 玄蕃の催促で源蔵が首を討ちに奥に入ります。 ここも 梅玉丈・源蔵の強気な雰囲気が伝わります。 松王丸をしのぐような強気では無いのですが ここで、松王丸への反発心が垣間見えるので 後の展開に、より意外性が出て 舞台に篤みが出ると思います。 緊張感もとても良いのですが やはり仁左衛門丈・松王丸の「机の数が一脚多い」から、戸浪の台詞を受けて「なに、馬鹿な」っと一喝するところの大きさがとても良くて見入ってしまいます。 奥で小太郎の首を討つ気配 で、この時の舞台中央の仁左衛門丈・松王丸 チョッと肩が傾いた感じでグラッとする後姿に、仁左衛門丈の松王丸らしい情の深さ、優しさを感じます。 時代物の義太夫狂言で、大きく決まっていても柔らかい優しい情を感じる松王丸です。 源蔵が奥から首桶を抱えて出てきます。 もちろん検分の結果は分かっているのですが この場の緊張感はスゴイです。 で、知っているのでなおさら 首を見た松王丸の‘悲‘が一気に伝わります。 源蔵と戸浪の‘(;゚ο゚)‘っという感じ 松王丸の‘_l ̄l●lll‘な感じ 玄蕃の‘"σ( ̄^ ̄;)‘ 三者三様 上手竹本が効果的です。 辛い気持ちを押し隠して松王丸がこの場を去り ガシット大きくて骨太な段四郎丈・玄蕃もこの場を去ります。 かなりニクニクしげな玄蕃なのですが 加減があって舞台に品格があると思いました。 源蔵と戸浪がホッとしているところに 花道の出で藤十郎丈・千代の出になります。 花道付けあたりから見えるのですが 既にあたりを気にかけた様子で木戸口に立ちます。 戸口を叩くのも気がせく様子で 一気に緊張感が出てきます。 先刻の大きな緊張感が完全に途切れてしまう前に、畳み掛けてくるような緊張感です。 「一つ遁れてまた一つ」が生きてくる展開だと思います。 藤十郎丈・千代が座敷に入って ここから梅玉丈・源蔵とのやり取りになりますが 流れそのものはサクサク進みます。 ですが、源蔵に斬りかかられて 舞台中央で文庫を持って「いかが」と決まったところの大きいこと 押しがあってスゴイ存在感です。 千代が覚悟で小太郎を連れてきたと話すところに 仁左衛門丈・松王丸の二度目の出になります。 竹本にのって「源蔵殿しばらく」となりますが ここから後の仁左衛門丈・松王丸の台詞が しっかりと大きいのに流れるように耳に心地良くスッと入ってきて 何より、言っている事が分かるのがとても良いです。 口跡ももちろんですが たぶん、間が今時の間なのだと思います。 なので粘っこくコッテリしているようには聞こえず 聞き取りやすい台詞なのだと思います。 ですが大きくて情が伝わる台詞です。 藤十郎丈・千代も大きくて情が伝わります。 ここからのクドキ 竹本にのって、たっぷりとして練れていてとても良いです。 ですが、柔らか味のある感じなので やはり粘っこくは感じません。 「何の因果に疱瘡まで」のところ むなしいくらいの悲しさが伝わります。 大事に可愛がって育てたのに っと、いう母親の心情が痛いくらいです。 特に、紫の袱紗(だと思います)を使ったところは より情が伝わり良いと思いました。 これ、いつも袱紗を使っていましたっけ? イマヒトツ記憶に無いのですが・・・。 千代の話を受けて仁左衛門丈・松王丸「覚悟した御身代り、内で存分ほへたでないか。」 っと、なるのですが 優しいのですよ〜。 小太郎を亡くしたことももちろん悲しいわけですが 仁左衛門丈の松王丸は、悲しいのは自分だけではなくて 母親の千代はもっと悲しんでいるだろうという気遣いを感じます。 そのぶん大きく見えますし、優しく情のある松王丸だと思います。 たぶん、ここまでくるまでに ずいぶんと二人で思い悩み悲しんできたのだろうな っと、察することができます。 篤みのある舞台です。 この場面で子を思う親の心情を感じる事は多いのですが 今回は夫婦の情愛も感じられました。 お話しの展開は非情ですが 底に温かさも感じられる舞台です。 松王丸が小太郎の最期の様子を聞き、桜丸へ思いを馳せる件 泣けました。 決まり決まりの型よりも それを見せながら心情重視の感じがする舞台で 仁左衛門丈・松王丸と藤十郎丈・千代の情のある舞台に泣けました。 何度も見た舞台で、時代物の型で決まっていく舞台で こんなに泣けるとは思っておりませんでした。 やられた! っと、言う感じです。(^^ゞ 「いろはおくり」から絵面に決まって幕になります。 ここもビジュアル的に スゴク綺麗に決まっていると思いました。 とくに、一番下手よりの藤十郎丈・千代が外の駕籠(小太郎の遺骸の乗った駕籠です)の方を向いて チョッと横顔で幕になるのですが ここの藤十郎丈・千代の横顔がとても美しいです。 で、‘あれ?‘っと思ったのですが 今まで、何度も見た舞台でしたが 千代って幕切れの絵面に決まった時って 正面を向いていることが多かったような・・・。 でも、たぶん‘情‘を思えば駕籠を見ている方が‘らしい‘のですね。 さすが藤十郎丈、だと思いました。 全体には時代物の大きさタップリ感はあるのに 舞台の流れはサクサクとしていて、台詞もわりとサラッと聞きやすい感じです。 重たくてしんどくならないような台詞の間があると思いました。 ですので 言っていることがよく分かり、情の伝わる舞台だと思います。 以上、とりあえず流れに沿って書いてみましたが 思い違い等ございましたらお許しくださいませ。 ランキング参加中です。 一押しお願いいたします。 |
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