6日に見にまいりました 歌舞伎座・團菊祭・夜の部「青砥稿花紅彩画・三升猿曲舞」の感想など書かせていただきます。
○「青砥稿花紅彩画 白浪五人男」
この舞台は1862年初演、黙阿弥作の五幕の世話物ですが 舞台面が美しく、 また多少時代がかった感じもある舞台です。
「浜松屋」と「稲瀬川」はよく上演されるのですが 通しでの上演はそれほど多くないので 今回は全体の流れも良く分かりました。
全体には まず、それぞれがニンに合ったお役で かつ、皆様 格のある役者さんが揃っておりますので 舞台は時代物と異なりサクサクと展開していくわりに 見応え十分で 各場面での雰囲気もとても良いです。
また、今回は通しでの上演ですので 見慣れた‘浜松屋‘‘稲瀬川‘に より深みを感じました。
私の好みですが(笑) 今回の舞台は序幕がとても良いと思いました。
「初瀬寺花見の場」は 鐘の音の入った下座で幕開き 舞台は満開の桜の初瀬寺(新清水)です。
この新清水の舞台は「新薄雪物語」を模しているのですが 私は見た瞬間に「桜姫」を思い浮かべてしまいました。(笑)
途中、上手側から 菊五郎丈、梅枝丈、左團次丈、田之助丈が舞台に並ぶように位置するのですが 衣装が黒赤青白と並びまして、桜の舞台にとても美しく見えます。
菊五郎丈の信田小太郎が なんともはんなりと艶っぽい感じで良いです。
それでいて千寿姫の手を取って歩くところなどは 懐の大きさを感じて、カッコ良いのですね。
梅枝丈・千寿姫が赤姫の楚々とした可愛らしさと一途な思いの娘らしさを上手く見せていたと思います。
また序幕では 時蔵丈・赤星十三郎、三津五郎丈・忠信利平が良かったです。
時蔵丈の立役も珍しいかと思うのですが 柔らかさの中に芯を感じました。
三津五郎丈・忠信利平は骨太な感じがします。
大きさ、重みがあり 渋くて大人な忠信利平です。(^^ゞ
「月が昇ったか〜」でキット決まった三津五郎丈、カッコイイです。
お二人が それぞれのキャラクターの個性をかなりクッキリと見せてくれているので舞台全体の幅が大きくなるように思いました。
で、三津五郎丈と左團次丈の立ち回りのときの下座がチョッと楽しくて良いです。
田之助丈・柵、團蔵丈・薩島典蔵のお二人が脇をシッカリ固めていました。
「神輿ヶ嶽の場」では 菊五郎丈の信田小太郎が、実は弁天小僧だと分かるわけですが 「初瀬寺花見の場」の菊五郎丈が、はんなりと艶っぽく かつ、懐の大きさを感じて、カッコ良く見えるので 神輿ヶ嶽で弁天小僧の正体を現した時のチョッとべらんめいな調子に変わったスイッチが効いてくるのだと思います。
また 本当の小太郎を殺害して千鳥の笛を奪い、千寿姫も騙して千鳥の香合も奪った盗賊なのですが ‘嫌な悪い奴‘には見えなくて、あくまでも‘粋‘に見えるところで 舞台がとても面白くなるのだと思いました。
團十郎丈・日本駄右衛門は菊五郎丈・弁天小僧と対して十分大きく存在感がございますが 盗賊という感じより‘親分‘な雰囲気に見えました。(^^ゞ
「稲瀬川谷間の場」では だんまりが良かったです。(笑)
あの、理屈ではなくて この5人でのだんまりが良いのです。
もしかすると そう頻繁に見る事ができないだんまりではないかしら っと、思いました。
二幕目は見慣れた「浜松屋」と「稲瀬川」がある舞台ですが 通しで見ますと、いつもより面白く見えるのが不思議です。(笑)
「雪の下浜松屋の場」 ここはもう菊五郎丈の弁天小僧がとても良いです。
娘姿も可愛らしく 男と見破られて開き直ったところも、こなれた感じでわざとらしさが無く それでいて、粋で大きな感じがあります。
この場面で特に良いと思いましたのは東蔵丈・幸兵衛です。
何がどうというのでもないのでしょうが この場の浜松屋の主人の雰囲気がございます。
何と申しましょうか 渋いけれど情があって 品があって、腰の低い感じがあって、大きなお店の主人の重みがございます。
それと海老蔵丈・宗之助が良いです。
見る前は‘どうよ?‘っと、思っていたのですが 少しナヨっとした感じがケッコウ良いと思いました。(^^ゞ
で、唯一 この舞台で 似合わない!っと、思いましたのが 梅玉丈・清次です。
すみません・・・どうしても鳶頭には見えませんでした。
それと、手拭は弁天小僧の前に‘放る‘のではなくて ‘投げつける‘のだと思うのですが・・・。(^_^;)
丁稚の子役さんは 毎回、卓球(テニス?)とかサッカーとか野球とかしているのでしょうか?
日によって違うのかしら?
「浜松屋蔵前の場」は 種明かしの様な流れですが 日本駄右衛門と宗之助が実の親子だと名のった時に場内から笑いと拍手が聞こえておりました。(^_^;)
ここは成田屋のお二人が持って行った感じでした。(笑)
「稲瀬川勢揃の場」は 浅葱幕を振落とすと稲瀬川の土手の舞台になります。
舞台面の華やかさと合間って三味線がとても良いです。
下座が良くて 三味線、鼓、鐘、太鼓、大太鼓と入って これに合わせて弁天小僧、忠信利平、赤星十三郎、南郷力丸、日本駄右衛門 と花道に出ます。
3階からですと花道に並んだところは見えません。(T_T)
舞台に並んだところで 皆様をシッカリ見る事ができるのですが 通しでここまでの経緯が語られておりますので 並んでいても各キャラクターがしっかり意識できて「「稲瀬川勢揃の場」だけを見るのとはゼンゼン違って とても篤みを感じました。
大詰の「極楽寺屋根立腹の場」は立ち廻りがスゴイです。
大まかな流れは 大屋根中央に弁天小僧、これに2人でかかり 次に4人がかり、2人がかり そこから梯子 綱を使って この後8人が屋根上でトンボ 弁天に絡んで1人でトンボ 2人で梯子 8人で梯子 3人で組んで1人が倒立 大勢で梯子(数え切れませんでした) 菊五郎丈が梯子で決まって、‘どんたっぽ‘から三つ太鼓になり動きが早くなって22人(だと思います)の絡み 立ち腹から‘がんどう返し‘で舞台面が変わり大セリで山門が上がってきて さらにセリで團十郎丈・日本駄右衛門が出ます。
立ち回りは全て 斜めな大屋根の上ですし 降りる時はトンボで屋根から落ちる感じになるわけですし そこで梯子とか綱を使っての大人数での立ち回りですので これはもう迫力がございます。
歌舞伎でなければ見ることのできない舞台です。(^。^)
「極楽寺山門の場」は とにかく舞台面が美しいですし ここまでの大道具さんに拍手したいです。
「滑川土橋の場」は五右衛門と久吉の「南禅寺山門」を模しています。(っと、申しますか ‘そのまんま‘な感じです。)
富十郎丈・藤綱が幕切れ前をシッカリ押さえてくれました。
○「三升猿曲舞」は 所作ダテが見どころの舞踊です。
‘ほうおう‘の写真は青系の地色の衣装ですが 今回の舞台は白地の衣装で、とても清々しい雰囲気です。
時間的には十数分と短いですが きっちりとした踊りを見せてくれるので とても気分良く見終わる事ができました。
余談ですが「三升猿曲舞」の‘三升‘というのは成田屋の紋の三升の事だそうで これを‘しかくばしら‘と読むのは 三升の紋が四角い柱の様に見えるからだそうです。
舞台の初演が成田屋だったのだそうです。
で、‘猿曲舞‘というのは此下兵吉が木下藤吉郎だからです。


ランキング参加中です。
一押しお願いいたします。