20日に見に行きました歌舞伎座・夜の部「鶴寿千歳・連獅子・助六由縁江戸桜」の感想などを書かせていただきます。
○鶴寿千歳
私はこの舞台を前回は2006年1月歌舞伎座で 雄鶴・梅玉丈、雌鶴・時蔵丈で拝見しているのですが 今回の舞台は尉と姥で、ほのぼのとした演出になっております。
下手・囃子連中、上手・筝曲連中が並びまして幕開きになります。
箏の音がございますので なんともお正月な風情がいたします。
舞台は淡い色合いで柔らかな感じの松の舞台です。
下手から 松・歌昇丈、竹・錦之助丈、梅・孝太郎丈のお三人が出て前半を踊ります。
歌昇丈を芯にしてとても上品で綺麗な所作です。
後半になって、松の背景が上がり 背景が松の先頭と富士山に変わりますと 尉・富十郎丈と姥・芝翫丈がセリで上がってきます。
ここの出は雄鶴雌鶴の時と同じ様でございました。
で、ここで気付いたのですが これはたぶん、老雄鶴老雌鶴なのですね。(^^ゞ
私は単純に老夫婦だと思っておりましたので 何で松の木のテッペンなんだ?っと、一瞬考えてしまいました。(笑)
舞台はやはり淡いふんわりとした色合いで統一されておりまして お二人のほのぼのとした雰囲気にピッタリです。
また、芝翫丈の衣装の緋色がとても良く映えて美しいです。
芝翫丈・姥が優しい感じで 富十郎丈・尉の気遣いのある様子が暖かです。
品があって、ほのぼのとした優しい雰囲気の舞台です。
何がどうしたというわけではないのですが やはり、大きさのある舞台だと思いました。
○連獅子
幸四郎丈と染五郎丈の「連獅子」について 2005年11月・歌舞伎座公演での観劇記録をUPておりまして その折は、どうもイマヒトツと思ったのですが 今回はとても良い舞台だと思いました。
片しゃぎりで幕開きで松羽目の舞台です。
舞台正面は長唄囃子の雛壇で 四ツ花菱の紋が入った肩衣です。
>それ牡丹は百花の王にして・・・
大薩摩から下手お幕より前シテの出になります。
手獅子を持っての出になりますが 衣装が2005年11月の舞台の時とは違っておりまして 袴は同じ黒地に牡丹なのですが小袖(っと、いうのでしょうか)が、前回は
白地たまご色の地色に扇でしたのが 今回は
白たまご色と青の地色に扇です。
少し古風な感じなのですが とてもすっきりと締まった感じがして良いです。
>そもそもこれは尊くも・・・
>峨々たる巌に渡せるは・・・
幸四郎丈の仕抜は大きくて安定感がございますし 染五郎丈は柔らかで軽快な感じです。
親子それぞれの雰囲気があって良いと思いました。
>かかる険阻の巌頭より・・・
ここから親獅子が子獅子を千尋の谷に落とすという故事をもとにした踊りになるのですが 幸四郎丈の踊りには始終‘情‘を感じました。
舞踊なのですがドラマが見える様で ガンガン見せる踊りというより、心情の深さを見せる感じです。
とくに、子獅子を落とすところは 親ゆえの心情がございますし 落として後の気遣う様子に親の懐の暖かさを感じます。
染五郎丈は、さほど腰の高さを感じることもなく 子獅子の軽快さ柔らかさが出ていて親獅子とのメリハリが見えて良いです。
>胡蝶に心和(やわら)ぎて・・・
子獅子が戻り 蝶と戯れた親子が手獅子を持って花道から引っ込みますと 間狂言の「宗論」になります。
今回は高麗蔵丈と松江丈ですが 品よく軽い感じで、気を変えるには丁度良い加減であると思います。
高麗蔵丈と松江丈が下手のお幕に入り 山おろしを打ち上げると、一声の笛の後 再び大薩摩になります。
>それ清涼山の石橋は・・・
ここから ‘トントン‘っという露の鳴物になって、花道から後シテの出になります。
>獅子団乱旋(とらでん)の舞楽のみぎん・・・
今回は最後の毛振り 髪洗いの後あたりから、チョッと感動してしまいました。(^^ゞ
この年齢の親子だかかこそ出せる‘情‘がある舞台だと思いました。
幸四郎丈の毛振りはゆったりと大きく 落ち着いた貫禄を感じました。
けして速さがあるわけではございませんが とにかく、とても大きくて綺麗な毛振りに見えました。
でも、実は年齢も感じました。
巴もはじめはお二人がピッタリ合わせてゆったり大きく回し 幕切れ前に染五郎丈がスパートして早回しになります。
幸四郎丈を横に見ながら はじめは大きくゆっくり巴を合わせていた染五郎丈が 最後にスパートするのを見まして この年齢の親子のバランスを見るようでした。
親への気遣いと、次の担い手としての勢いを垣間見た感じです。
幸四郎丈の親の心情、あるいは願いの様なものと 染五郎丈の子としての想い、あるいは気遣いが とてもよく伝わりまして 幕切れ前の毛振りを見て泣けてきました。
親を気遣う事ができるようになった子獅子 そこまで子供を育てた親獅子 この関係は、やはり この年齢にならないと出ないと思いました。
「連獅子」を見て泣けたのは初めてです。
ガンガン押してくる舞台ではございませんけれど しっかりと親子の情を見せる舞台だと思いました。
○助六由縁江戸桜
大太鼓で幕開き 舞台は上手下手にCMの‘新吉原・竹村伊勢‘で、三浦屋見世先 ”と〜ざい、とざい、と〜ざ〜い”の声の後に段四郎丈の口上で それから河東節が始まります。
良いですね〜。
別に、なんということでも無いのですが 雰囲気がね、歌舞伎でしょ。(^^ゞ
最初に舞台に出るのは、並び傾城ですが 京妙丈、芝のぶ丈、京紫丈、とっても綺麗。(^。^)
まず、團十郎丈・助六ですが 花道の河東節の出端が上半身しか見えませ〜ん。(^_^;)
歌舞伎座を建て直す折には‘必ず‘3階から花道が見える様にしてもらいたいものです。(それを思えば国立は良いですね)
ですが けして時間的に長いと感じなかったのは(TVなどで見ると、ここがスゴク長く感じるので)生の舞台だからでしょうか。
舞台に上がって、ようやくすっきりと見えるのですが(笑) 團十郎丈の助六は、突き抜けた様なおおらかさがあって 細々していないところが良いです。
また、くわんぺら門兵衛や朝顔仙平に聞かせる「いかさまな〜」からの勢いのある台詞の聞き心地がとても良いです。
たっぷりとしていて、トントントンっと勢いがあって 大きな助六です。
で、「こりゃまた、な〜のこったい」っと言う時の顔つきが、すごくオチャメです。(笑)
福助丈・揚巻は 神妙な感じの揚巻に見えました。
この‘神妙‘は‘ 態度がおとなしく、すなおなこと‘ っと、言う意味です。
とても綺麗で可愛い揚巻で、決まり決まりもキッチリしていて、余計な事もなく良いのですけれど 揚巻の他を圧倒するような大きさ、格がイマヒトツ感じられません。
これって‘技‘では見せることのできない部分なのかもしれません。
揚巻の衣装(舞台の後半で満江と一緒に出る時の衣装です)が2階のロビーに展示してありまして 開演前にロビーで見た時には、とてもアッサリした感じに見えまして‘どおよ?‘っと思ったのですが 舞台で拝見いたしますと、周りの紅色に映えてとてもすっきりとして綺麗でした。
左團次丈・の意休は もう、手の内なのでしょうね。
少しあっさりな感じもあるのですが 大きな意休だと思います。
これも衣装なのですが(^^ゞ やはり後半、揚巻と並んで座っている時の赤茶色の様な地色の衣装がとても素敵で 白地の揚巻の衣装と相俟って良い絵になります。
梅玉丈・白酒売新兵衛はピッタリです。
妙に崩れる事が無いのに そのままで雰囲気が可笑しいのです。
助六のおおらかさに対になる様な新兵衛の真面目さが、品のあるおもしろさになっていると思います。
孝太郎丈・白玉は揚巻を立てて控えめな感じが良く 段四郎丈・くわんぺら門兵衛はあざとい感じがなくおかしみがあるのが良く 歌昇丈・朝顔仙平は歯切れが良く 錦之助丈・福山のかつぎはキッパリとした感じが良く 歌江丈・番頭新造は雰囲気があって良いです。
また、東蔵丈の通人は やり過ぎがなく、ほど良く品のある通人です。
芝翫丈・曽我満江の出て 舞台がグッと大きく重たくなります。
それと芝翫丈の台詞にある暖かい感じが、なんとも優しく思えて とかく、この場の満江には 武家の厳しさを感じる事が多いのですが 芝翫丈の満江は‘兄弟の母親‘の感じが伝わります。
全体に今回の助六は、暖かなほのぼの感が残る舞台でした。


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